昨日紹介した「ハリー・ポッターは日本では生まれない - 能力つぶし社会的損失ひろげ機会の平等を保障しない日本社会」の中でも、立命館大学教授・唐鎌直義さんが少し指摘しているのですが、「本当に困っている人」を助けられない「福祉のパラドクス」の罠に陥っている日本社会の問題です。以下、唐鎌直義さんが「福祉のパラドクス」についての語っている部分の要旨を紹介します。 チャップリンの母親を救えなかった「本当に困っている人」だけを「選別する福祉」いまの日本における生活保護バッシングは、1830年代のイギリスの産業革命期の社会保障にまで後退させかねない危険性を持つものです。 1834年にイギリスで成立した新救貧法の特徴は次の4つです。 1つは、労働可能な人間に対する救済はすべて拒否。結果、どんなに悪い労働条件でも労働者は受け入れるほかないという惨状が広がりました。今で言えばブラック企業天国のような労働市場に