空から魚が降ってくる。有史以来そんな報告が途絶えない。 ときにはカエルが、ときにはコインが、ときには食事が、あるいは血肉が。 疑問が議論を呼び、ある謎の解決は新たな謎のはじまりとなる。いったいこの地球で何が起こっているのか。 これは予報ハズレの魚に悩まされてきた人類と、謎のファフロツキーズ現象との壮絶な戦いの物語である。 晴れ、時々サーディン 1989年。動乱の時代。 ちょうど日本では長く続いた昭和が終わり、新元号『平成』が始まったころ。 その年の2月6日、ところはオーストラリア、クイーンズランド州イプスウィッチ郊外。 昼食どき、市議会職員のハロルド・ディーゲン氏が息子のジェイソン君(6歳)を連れて自宅へ戻ると、ポツリ、ポツリと雨粒が庭の地面を打ちはじめた。またたく間に、それは轟音をともなう豪雨となった。 だが、どこか、豪雨にしても何かおかしい。 違和感にディーゲン氏が庭先を観察すると、ど