イギリスの映画監督ケン・ラッセルの作品「マーラー」は思い出深い映画である。 日本では1987年に公開されたため、その当時に作られた映画だと思い込んでいたのだが、上のリンクによると1974年製作であった。 1987年といえば、CDの売上げが初めてアナログ・レコードのそれを上回った年として記憶に残っている。クラシック音楽の分野では、CDの良い音質のみならず、長尺モノの楽曲がもてはやされ、1曲が60分を超えるマーラーの交響曲のような作品が、大量に世に出回ったのであった。(「アダージオ・カラヤン」みたいなカタログCDが流行るよりも一時代前の話である。) さて、この映画は19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した作曲家・指揮者グスタフ・マーラーの生涯を描いた作品なのだが、ケン・ラッセルという人物は相当なフェチであって、過剰な演出と色彩、淫靡なファッション、狂気と宗教が交錯するトンデモない映画になって