後味のわる〜い推理小説、「イヤミス」が売れている。このご時世に、なぜ。 異例の売れ方をしている文庫本がある。沼田まほかる「九月が永遠に続けば」(新潮社)だ。著者は団塊世代の女性で、2004年にこの作品で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞し、デビューした。08年に文庫化したが、当初は話題にならず、3年かけてようやく初版の2万部が売れた。 それが、昨年6月ごろから急に売れ始めた。64万部に達したいまも、勢いは続いているという。 主人公の女性の息子である高校生が失踪し、別れた夫とその新しい家族もからんで様々な事件が続いていく筋立て。愛人の事故死、前夫の娘の自殺など、ドロドロした展開が続き、心理や情景の描写はかなりグロテスクだ。最後まで読んだものの、個人的にはいま一つ、良さがわからない。 ■30代の女性に人気 売れそうな「芽」を開花させたのが、新潮社営業部の竹内亜弥さん(25)。書店を回るうち、神戸