YouTube にボリス・ヴィアン/Boris Vian の映像があった。フランス人でありながらアメリカ文化の熱狂的なファンであったボリス・ヴィアン──レイモンド・チャンドラーやA・E・ヴァン・ヴォークトを仏訳したのは有名だろう。やっぱり英語しゃべっているよ! Boris Vian で、『うたかたの日々』(日々の泡)を取り出してみたら、解説が荒俣宏だった。ボリス・ヴィアンとアメリカについて興味深い指摘をしている。 ボリス・ヴィアンがアメリカの都市に謎めいた愛着を抱いた理由は、ひとえにその虚構性にあったと思われる。フランスに初めてビ・バップやパルプ雑誌のSFを紹介し、果てはアメリカ人の名をかたって黒人を主人公としたビート小説を自力で書きあげたとき、おそらくかれには、反現実の空間としてニューヨークしか残されていなかった。パリはすでに、アポリネールからブルトンに至る破壊の別動隊の手に落ちていたし