70年代後半に大流行した少女マンガ『ベルサイユのばら』は時代遅れで存続が危ぶまれていた宝塚歌劇を復活させた舞台にもなったが、実写の劇映画版もあることは、今日ではかなり忘れられている。それもヴェルサイユ宮殿で大規模なロケ撮影を行い(ほぼ史上初)、監督は『シェルブールの雨傘』のカンヌ・グランプリ監督ジャック・ドゥミ、というえらく豪勢な話だった。 日本がバブル時代に突入しようとしていたその前夜である。三越デパートが同宮殿の鏡の間を借り切ってパーティーを催し、日本人観光客がパリのルイ・ヴィトンで行列を作り、日本マネーが世界に威力を発揮し始めていた。裏を返せば、金の力で人種差別と白人コンプレックスをはねのけようとしていた日本でもあり、映画『ベルサイユのばら』は、そんな時代の産物である。 当時のフランスから見ればしょせんはマンガ、それも多分に日本人のファンタジーでしかない物語の映画化で、どうせ日本以外
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