富士フイルムは2001年頃から「技術の棚卸し」を行なうなど構造改革に着手。祖業だった写真フィルム事業を縮小する一方、化粧品や医薬品、医療用機器など新しい稼ぎ頭を次々と生み出し、現在では2兆円以上の売上高を誇るマルチ企業へと成長を遂げている。 では、どんな技術と取り組みが成長につながったのか。 富士フイルム創業の地、神奈川県西部に位置する足柄周辺は、神奈川工場を始め、富士ゼロックスなどグループ企業の事業所が集積する企業城下町。この一角に2006年、「先進研究所」が設立された。 6階建て、総床面積5万9000平方メートルの建屋に約1000人が勤務する。世界でも最先端の技術を持つ同社の“頭脳”だ。先進研究所の随所にはユニークな設計が見られる。 他社の多くの研究所では、研究ごとに部屋が異なるのが一般的だが、ここでは大部屋に研究者の席を置く。“うしろの席はまったく異分野の研究者”という状況だ。浅見正
