息を吸う。いつのころからか彼女の肺は適切な呼吸の量がわからない。短く不規則な呼吸をふたつみっつする。顔をあげる。ありがとうと言う。夫はほほえむ。多大な労力をかけてベッドから引きずりだした身体をどうにか椅子の上に据え置く。嵩張るばかりで価値のない荷物のようだと思う。子がおとうさんありがとうと言う。夫は自分の朝食をすでに済ませており、彼女と子とふたりのために作った朝食を置いて出勤していく。子は食事をする。彼女はどうしてもそれを食べることができない。 午前中ずっと立ち働くことが彼女にはどうしてもできない。横になる。子どもが癇癪を起こす。小さい手を振りまわし泣いて彼女を叩く。痛いよと彼女は言う。やめて、ぶたれるとおかあさん痛いの、悲しいの、やめなさい。子どもが疲れるまでそれは継続される。子どもは叫ぶ。おかあさんなんかきらい、おかあさんなんか死んじゃえ。 彼女は医師から処方されている薬をのむ。ほどな