3月11日の大津波で壊滅的な被害を受けた仙台市若林区の荒浜地区。ここに古くから伝わる「狐塚」が、ほぼ無傷の状態で残っている。 <周りに浸水の跡> 狐塚があるのは、海岸から約1キロ離れた田んぼの中。すぐそばを県道塩釜亘理線が通る。こんもりと1.5メートルほど周囲より高く、ほこらと小さな鳥居を松が取り囲む。地元には、竹駒神社(岩沼市)と塩釜神社(塩釜市)を往来する「おキツネ様の休憩所」と伝えられてきた。 狐塚の周りは浸水した跡が残り、倒れた木が転がる。狐塚より400メートルほど海に近い市消防局荒浜航空分署の屋上に避難したという消防署員は「北東から津波が流れ込み、狐塚の辺りものみこんだはずだ」と、その日を思い返す。 <所有男性犠牲に> なのに、何事もなかったかのように姿を保つほこらや鳥居。住民の間では以前から、この周辺は交通事故が多い場所として知られてきた。 荒浜北町内会の早坂勝良会長(