江戸しぐさに関する本を紹介するのは、越川禮子さんの「江戸の繁盛しぐさ」「暮らうるおう江戸しぐさ」に次いで3冊目です。著者は、その越川禮子さんのお弟子さんです。 江戸しぐさには、人との関係、社会との関係を円滑に保つ姿勢が詰まっています。今回は、以前紹介した「江戸しぐさ」を除いて、まとめてみました。 ・「あいづちしぐさ」は、相手が話しやすい環境をつくることが第一、という意味。話させ上手こそ聞き上手。「間合いのいい相づちを心がける」こと ・「芳名覚えのしぐさ」は、本名をあえて聞かない交流のコツ。江戸の人々は、さまざまな身分や立場の人が集う場で、いきなり名前を聞くのは野暮で、自然に知る機会を待ち、誰かが呼んだその名前で話しかけた ・「のん気しぐさ」は、すべて努力をした後は、天の意思にまかせて前向きな心持ちでいましょうということ。江戸商人の心得は、一にやる気、二に根気、三にのん気、と言われた ・「世