「要は、勇気が無いんでしょ?」という説教。 この説教への反発としての「勇気が無いから俺はダメ」という絶望。 もう殆ど確認作業になるんだけど、両者はコインの裏表で、同族嫌悪的な関係にある。 「要は、勇気が無いんでしょ?」と説教たれる人も、説教に反応して「勇気が無いから俺はダメだ」と苛立つ人も、実は“勇気の効能”を魔術的に信じているという点では大差がない。一方は、勇気があればサクセスストーリーが待っていると囁き、もう一方は、勇気が無いから俺にはサクセスストーリーなんて有り得ないと嘆いているが、どちらの側も、“勇気”こそが人生の可否を握るマスターキーであると認識している、という点では価値観を共有した同胞だといえる。 この構図は、ちょっと昔にネットで流行っていた、非モテ云々を巡る議論にそっくりだ。あの頃、“恋愛しなきゃ駄目だよ”と説教する側だけでなく、“恋愛できない我が身の不幸”と嘆く側のほうも、