東京オリンピックで新競技に採用されたスポーツクライミング。大人から子どもまで幅広い世代に親しまれる中、ちょっと変わったイベントが人気を呼んでいる。背後からの情報を頼りにホールド(突起物)を探し、壁をよじ登る。コンセプトは「見えない壁だって、越えられる」だ。 ある月曜の夜。JR戸塚駅(横浜市)から歩いて5分ほどのクライミングジムに、白杖(はくじょう)を手にした人や、盲導犬を連れた人たちが集まり始めていた。 十数人の参加者は、視覚障害者と健常者が入り交じる三つのグループに分かれる。視覚障害のある参加者が登る場合は、後方からナビゲーターと呼ばれる人が指示を送る。