なぜ、名経営者たちは聴衆を引きつけ、人を動かせるのか。音声、しぐさ、パフォーマンスの権威が映像を徹底分析したところ、本人も気づかないような意外な事実が見えてきた。 プレゼン上手で知られるソフトバンクの孫正義社長は、ネット上に映像も多い。なかでも2010年の株主総会後に開かれた「新30年ビジョン発表会」では、2時間以上にわたって思いを語っているので見逃せない。 「やや特殊な声ですが、周波数は2500~5000Hzの人間の耳の感度がいい領域をカバーしています。高周波になるSの発音もきれいです。ノイズが多い広い会場であるため、話速を落としているのも、聴衆が理解を深める助けになっています」(日本音響研究所所長・鈴木松美氏) ステージをゆっくり歩きながら話すスタイルはお馴染み。自然に振る舞っているようでも、パフォーマンス学から見て適切な動きになっている。 「新30年ビジョンでは、初めの6分間で視線は