UX(ユーザエクスペリエンス)の定義や誤解について解説し、本来の意味とは異なる使われ方をしている現状を批判しています。1998年に認知工学者のノーマンが初めて提唱したUXは、製品がどのように見え、学習され、使われるか、ユーザのすべての経験を包括的に捉える概念です。しかし近年、特定の意味を持たない一般語として広まり、定義の曖昧さから誤解も生じています。筆者は次回、自らの定義するUXの概念構造を紹介すると述べています。 今回から全6回にわたり、Web関係者の皆さんを主対象にしたUXの解説を書くことにします。世間に出回っているUXに関する言説には論理的に考えるとちょっとおかしいものが多いので、そうした話を聞かれてきた皆さんには多少の違和感があるかもしれませんが、どうぞよろしくお付き合い願います。 [UX概念の誕生] いまでは頻繁に耳にするUX (注1)という概念は、認知工学者のノーマン(Norm