認知心理学を専門とする追手門学院大学(大阪府茨木市、学長:川原俊明)心理学部の乾敏郎教授の研究チーム(心理学部4年 寺前ひかり、杉浦優衣)は、身体の平衡感覚をつかさどる前庭および三半規管の感度が高い人(いわゆる乗り物酔いをしやすい人)は、そうでない人よりも「他者の視点を知覚する能力が高い」ことを実験から明らかにした。この研究結果は、人間の社会性やコミュニケーション能力の形成過程における個人差を考える上で重要な論拠となるもので、今年9月に開催される日本認知心理学会で報告する予定である。 【検証の手順】 乾教授の研究チームは、対人コミュニケーションにおいて重要となる「他者の視点を知覚する能力」に関する脳内メカニズムについて、「他者の視点を理解しようとすると、前庭および三半規管の反応を利用して、イメージの中で他者の位置まで身体を動かすシミュレーションが頭の中で発生する」との仮説を立てた。 平衡感