たくさんの絵画に囲まれた、日当たりのよい部屋でにこやかに微笑むお二人。仲睦まじい様子が、じんわりとこちらにも伝わってきます。 右が八代みゆきさん、そして椅子に座っているのが八代安子さん。チェリストとピアニストであったお二人は1956年、同じクラシック音楽を愛する男女として結婚しました。 しかし、みゆきさんには幼少期から抱いていたあるひとつの思いが。それは、男性として生きることへの違和感でした。その事実に向き合い、みゆきさんは78歳で性適合手術を受け、戸籍上も女性となったのです。 それでも二人は養子縁組をし、形を変えて再び同じ戸籍の家族に。今もこうしてひとつ屋根の下、以前と変わらない穏やかな日々を重ねています。 今でこそ、多様な性のあり方に理解を深めようとする動きが広がりつつありますが、八代さんの青春時代は戦後の混乱期。LGBTについては今よりも認知も理解も進んでおらず、ここにたどりつくまで