新型コロナウイルスの感染拡大を受け、韓国南東部の慶尚北道亀尾市長が2月下旬にフェイスブックで公開した女性感染者の情報だ。○の部分は筆者が伏せたが、市は勤務先の大手メーカー事業所名まで明かしていた。この女性は、集団感染の発生源として非難を受ける新興宗教の信者との交際まで公にされ、SNSに「家族も友人も傷ついた。身体より、心理面がきつい」と訴えた。 韓国の保健当局が防疫のために公開する個人情報は、民主主義国としては異例の細かさだ。カード使用や防犯カメラなどの記録から割り出した訪問施設などを本人らの同意なしに発信する。私のスマホにも行政から1日何回も近隣で感染者が現れたとの緊急メッセージが届く。感染予防の参考にはなるが、自宅アパート、訪れた店や施設の実名などが詳しく書かれたものもあり、断片情報を集めて個人が特定されるのではとの懸念も浮かぶ。 当局が感染者の動きを捕捉できるのは、16歳以上の国民全
地方自治体が保有するお金(公金)の預入先を選ぶ手続きに対して、銀行など金融機関の参加辞退が相次いでいることが分かった。こうした事例は東京都や埼玉県でみられ、神奈川県では本年度、参加ゼロがすでに八回あった。日銀のマイナス金利などで「預金を預かっても借り手はおらず、管理コストが膨らんでいる」(大手銀幹部)ことが要因。これまで銀行経営を支えてきた預金を敬遠する姿勢が鮮明になった。 (森本智之、桐山純平) 東京都財政部門の関係者は「参加を辞退した金融機関は『預金はもういらない』と話している」と困惑する。各都県とも具体的な悪影響は起きていないが、こうした状況が続けば公金の運用に支障が出かねない。 税金などが原資の公金は目減りしないよう安全運用するのが原則。そのため、定期預金を運用の主軸としている。預入先を決める際には自治体がまず預金の金額や期間を示し、最も高い金利を見積もった金融機関から選ぶ競争入札
到底聞き流すわけにはいかない。安倍晋三首相が委員会審議中、野党議員に「意味のない質問だよ」とやじを飛ばした。行政監視や国政の調査を担う国会を冒涜(ぼうとく)する暴言だ。厳しい対処を求める。 そのやじは十二日の衆院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美議員が質問を終えた直後に飛び出した。委員会は一時紛糾。発言の確認を求めた同党議員に対し、首相は「(辻元氏の質問は)罵詈(ばり)雑言の連続で、私に反論の機会が与えられなかった。ここは質疑の場だ。これでは無意味じゃないかと申し上げた」と説明した。
東日本の病院が今月上旬、重度の呼吸不全で新型コロナウイルスの感染が疑われる五十代の日本人男性を診察し、保健所にウイルス検査を求めたところ、「国の検査対象に該当しない」と一時、断られた。男性は中国湖北省への渡航歴や感染者との濃厚接触はなかった。診察した医師は「同じような患者はこれからも出るだろう。現場の医師の判断を尊重してほしい」と訴えている。 (市川千晴) 男性は一月下旬に国内の観光地を旅行。名所やレストランなどを巡った際、外国人旅行客とも一緒になった。帰宅後に熱やせきがあり、いったんは回復したが今月に入り急変。病院に搬送された際は両方の肺に炎症がみられ、重症だった。 治療した三十代の男性医師は「新型肺炎の感染者を分析した中国の報告書に載っていた典型的な症状」と判断。男性は入院し、病院の感染症対策チームが、細菌の院内流出を防ぐ陰圧室の集中治療室(ICU)で治療することにした。
政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも七件が機構の株主企業六社に関連していたことが本紙の取材で分かった。公的資金が株主企業に還流された形で、機構の中立性が揺らぐ可能性がある。機構の投資先を決める内部組織に投資先企業の役員がいたことも判明。識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘する。 (大野暢子) 本紙は、機構が二〇一四~一九年に公表した出資三十二件の内容を事業報告などから調べ、株主六社に関係する出資を計七件確認した。総額は百九十六億円。出資全体の三割にあたる。 株主の出資額の二十倍超を支援した例もある。機構は一四年九月、中国・寧波への商業施設出店事業に百十億円の出資を決めた。この事業は、機構に五億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っ
川崎市がふるさと納税対策に本腰を入れ始めた。ふるさと納税による市税減収は実質全国ワーストで本年度五十六億円に上る見込みだが、市民の六割以上がこうした実態を知らないことも判明。返礼品の拡充で市外からの寄付増を狙う「攻め」と、市民に実態を知らせる広報による「守り」で市税流出の増加を食い止めたい考えだ。 「ふるさと納税によって流出している市税は、本来は、私たち川崎市民のために使われる貴重な財源です」。川崎市税制課は十一月、市内を走るJR南武線と鶴見線の車両内に、こんなつり広告を出した。市税流出額が年々増えていることを示す棒グラフも添えた。 昨年は十二月、固定資産税の納付時期を知らせる広告の一部に、ふるさと納税について掲載したが、今年はB3判のポスター全面を使って現状を訴えた。ポスターは間接的にふるさと納税を控えるよう求めているとも読めるが、担当者は「制度や利用者を否定するものではない。影響や実態
マイナンバーカードを使って診療時の本人確認と保険資格確認をオンラインで行うため、医療機関が導入する顔認証機能付きカードリーダー(読み取り機)の費用を国が全額負担することが、2020年度予算案で分かった。カードの普及率は15%に満たず、従来の健康保険証での確認も併用されるため、専門家らからは「リーダーが無用の長物になる」「カードを普及させるためだけの公費負担は無駄」との批判が出ている。 (安藤淳) 十月一日施行の改正健康保険法に基づき、政府は早ければ二一年三月にも、マイナンバーカードを保険証として使えるようにする。二二年度末までにほぼ全ての医療機関などでカードの導入を目指しており、保険証を突破口にカードの普及を図る狙いだ。 計画では、病院の窓口に置く読み取り機にカメラ付きの顔認証システムを組み込み、患者本人がカードをかざして情報を読みとらせる。保険資格確認用のサーバーで照合するとともに、カー
県によると、転売されたのは、庁内の情報管理のための共有サーバーに使っていたHD。五年の契約期間満了により、別の業者に初期化させた上で、今年二月末、リース元の富士通リースにHD五百四個の廃棄を依頼して返した。 同社はHDをブロードリンクに売却。このうち十八個を、売却先の四十代男性社員が、穴あけや溶解処理をする前に持ち出して転売した。九個は回収したが、未回収の九個は七月後半~八月上旬に、三回に分けて落札された。 県は富士通リースとの契約で「データ復元が不可能な方法で廃棄する」と定め、破壊して廃棄するよう申し合わせていた。しかし、破壊後に金属として販売することまでは禁止していなかった。また、データを暗号化せずに復元可能な状態でHDを返し、破壊作業に県職員が立ち会うこともなかった。市原敬・ICT推進部長は「契約当時は大量のHDを暗号化する技術がなかった」と釈明した。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十八日の記者会見で、廃棄したとしている「桜を見る会」の招待者名簿の電子データについて「復元できないと事務方から聞いている」と述べた。技術的な理由かどうかは「承知していない」と語った。野党は反社会的勢力が出席した疑いがあるとして、実態解明のためのデータ復元を求めている。 (中根政人) 菅氏は、安倍晋三首相ら与党政治家の推薦による今年の推薦者名簿を廃棄した日付は「(招待者名簿を廃棄した)内閣府のように予約制の大型シュレッダーを使っているわけではないので確認できない」とした。 コンピューターの管理に詳しい上原哲太郎・立命館大教授(情報セキュリティー)は本紙の取材に、電子データの復元について「データをサーバーで集積管理している場合は、復元できる可能性はあるものの、復元作業により他の業務が大幅に滞るリスクを伴う」と話した。
政府は十九日、マイナンバー(個人番号)カードを活用して新たに始めるポイント還元事業の全容を固めた。申請できるのは二〇二〇年九月から二一年三月までの七カ月間で、最大二万円までのキャッシュレス決済の利用や入金につき、25%に当たる五千円分の「マイナポイント」を付与する。二〇年度当初予算案に関連費用約二千五百億円を計上する方向で調整している。 来夏の東京五輪・パラリンピック後の景気落ち込みを防ぐとともに、14%程度と低迷するマイナンバーカードの普及を後押しし、行政サービスのデジタル化の流れを加速させる狙いもある。消費税増税対策で、来年六月に終了するキャッシュレス決済のポイント還元の後継事業に位置付ける。
都は、昨年実施した「障害者の生活実態調査」の結果を公表した。社会参加を妨げる理由として「周囲の理解不足」と回答した割合が前回二〇一三年調査より増えており、「心のバリアフリー」が広がっていない実態が明らかになった。 都は五年に一度、同様の調査を行っている。今回は昨年十~十一月、身体、知的、精神障害者、難病患者約七千二百人に面接し、就労や社会参加の状況などを聞き取った。 社会参加への妨げについての質問(複数回答可)では、「周りの人の障害者に対する理解不足」と答えた人の割合が、知的障害者は20・3%(前回比3・1ポイント増)、身体障害者は9・2%(同0・9ポイント増)、精神障害者は21・8%(同0・4ポイント増)で、いずれも前回よりも増えた。難病患者は8・0%で、前回比0・2ポイント減だった。
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