「成人後も実家で暮らす」「結婚後は家計を妻が管理する」などの日本特有の慣習。これにより、愛情のない夫婦が離婚できない原因になっている可能性も……。本記事では、社会学者で中央大学文学部教授の山田昌弘氏の著書『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から、お金を巡る日本独自の家族像とそのリスクについて解説します。 稼ぎと表裏一体の愛情の搾取 男女共に「独立心」が強いのは、欧米と日本との大きな違いです。男性であろうと、女性であろうと、ヨーロッパやアメリカでは、成人したのちは経済的にも住居的にも親から自立することが求められます。 対して日本では、成人後も実家に居続ける若者が多く、それを私は「パラサイト・シングル」と名付けましたが、欧米では大学進学(もしくは高卒就職)と同時に、親元から離れるのが一般的なのです。 一人暮らしをしたり、仲間とルームシェアをしたり、大学の寮に入ったりした彼らは、よほどの大病や事故