コクヨデザインアワード2007の告知に当たって、私は雑誌のインタビューで「作品を見て頭を抱え込んでしまうような」 応募を期待しますと発言しました。今回、グランプリの「紙キレ」には本当に頭を抱えたことを正直に告白します。過去2回、私が審査員として関わってきた本コンペのテーマは「奥行き」「素」という佐藤卓氏による大変美しい日本語でした。今回、審査員長を仰せつかり、あえて「融通のきくもの」というあまり詩的とは言えないテーマを設定した背景には、是非、受賞作品を商品化につなげたいという思いがありました。それがカドケシなどのヒット商品を輩出してきたコクヨ・コンペのアイデンティティだと思ったからです。さて、くだんの「紙キレ」は、文句なく美しくかつ実用的な提案です。にもかかわらず私を悩ませたのは、提案がほとんど素材開発であるため簡単には実現できないからです。それでも激論の末にこれをグランプリとしました。デ