「やあ」 「やあ。君は誰だ?」 「誰でもいいさ。少し話があるんだよ」 「私には無いね。悪戯なら切るぞ」 「今から練習かい?」 「そうだ。もう切るぞ。今日は怪我人が帰ってくるんでね」 「こないよ」 「何だって?」 「あんたの大事なディアビのことを言ってるんなら、彼は来ないよ」 「どういうことだ。もしや彼を―」 「落ちつけよ。ただ彼を昨夜の食事に招いただけさ。彼はそのまま泊ったから、今も向こうの部屋でテレビを見ているよ」 「一体何が言いたいんだ?」 「あんたに一つお願いがあるんだ」 「見ず知らずの男のお願いを聞く筋合いは無いね」 「あるさ。俺がちょっと部屋の向こうに声を掛ければ、ディアビはマーマレードの便に手を伸ばしてくれるんだぜ」 「待て!そんなことをすれば―」 「アキレス腱が音を立てて切れるだろうな」 「何と卑劣な。君には恥というものがないのか」 「おっと、口を慎めよ、ムシュー。彼にチャン