同じ音階によりながらも、そこからの音の選び方で異なったタイプの旋律が作られる。この場合、そうした音の選び方を「旋法」と呼ぶ(音階と同義に用いられることもある)。旋法も中心音・副次音を持つ場合がある。 古代ギリシア音楽にはいくつもの旋法があったが、中心音はいずれも「メーセ(中音)」と呼ばれるイ音であり、それぞれの旋法の開始音は副次音に過ぎない。従って調性的な求心力はない。 古代ギリシア音楽にはディアトニック(全音階)、クロマティック(半音階)、エンハルモニック(四分音階)の三つがあったが、最も一般的なディアトニック音階では、次の7旋法が知られる。 (古代ギリシア旋法は高い音から順次下る方向に音を並べた。) ミクソリディア旋法……シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド・シ リディア旋法……ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド (←現在の長音階と同じ) フリギア旋法……レ・ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ (