愛知万博(愛・地球博)が二〇〇五年九月末に閉幕した。筑波万博の微妙な失敗など素知らぬ顔で、予想をはるかに越える興業的成功を収めた。入場者数は総計二二〇〇万人、一〇回以上会場に足を運んだというリピーターも少なからずいたようで、モリゾー、キッコロというファンシーなキャラクターは、閉幕後の今もなお根強い人気を集めている。 最先端の科学技術のありようを無邪気に肯定するでもなく、それでいて「人類と自然との調和」などというお題目を現象化させているとも言いがたい。なんというか、そう、政府が関与した巨大な物産展――デパ地下と表現したほうがいいかもしれない――のような面持ちであった。 伝え聞く大阪博の国民的な熱狂や、沖縄海洋博の国土システムへの野心、筑波万博の科学への欲望などはうかがえず、名古屋に企画限定で設置されたテーマパークのようなものとして、ディズニーランドなき周辺地域の人びとに愛されていたように映る