民主党から16人の分派が出て、分党論が公然と語られるなど、民主党の分裂や政権の崩壊は時間の問題になってきました。官僚も政権の足元をみて、電波法改正案は政務三役も知らないうちに各省折衝を通るなど、ほとんど無政府状態になっています。日本の政治がだめなのは自民党の長期政権が続いたためだといわれてきましたが、政権交代して症状がひどくなったところをみると、根本的な問題はもっと根深いと考えざるをえない。 それは最終決定権者の不在という欠陥です。日本社会は中間集団の自律性が高いため、もともと国家全体を統合する力が弱い。明治憲法では内閣は「天皇を補弼」する機関とされ、各省庁の合議機関でしかなかった。軍と官僚機構を山県有朋などの「元老」が統率していましたが、その権力の源泉は人事を握っていることでした。これは非公式の権力なので、山県の死後は軍の暴走を止めることができなくなった。 よくいわれるように、現在の状況
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