ワシントン大学がニセ科学・虚偽のデータ・ニュースを見抜き、周囲の人々をいかにして納得させるか、という技術を習得させるためのコース「でたらめを見抜く〜ビッグデータの時代において(注1)」を用意したという。 これは面白い試みであるし、おそらく重要な方向性であろうが、コースの名付け方からして、正しい立場と虚偽な立場を自明に分けられる〜自分たちは安全な場所を確保できている〜という前提条件があるところに彼らの姿勢の脆弱さがあると思う。このままでは危うい、と正直思う。 科学は他の社会に比べれば随分ましだが、それでも誇張や嘘に汚染されている。とはいっても、こうした科学の世界におけるスキャンダルを書くときには少々気をつけなければならないので、先に進む前にまず前提条件を確認したい。 つまり、科学の世界は、経済活動に携わる他の多くの小社会よりも、純粋に真実に人生を捧げている人々がはるかに多い小社会である。しか