水橋 そうですね。最初にお話を頂いてから、大体2年弱くらいでした。誰よりも長く「スカーレット」の世界にいたので、なかなか抜けきらないですね。執筆を終えた瞬間はすごく楽しかったなと思ったし、「まだまだ明日も書きたい」と思うくらい充実していました。実はもう次の仕事に入っているんですけど、それでもまだふとした時に「スカーレット」のことを考えたり、反省したりします。 ――反省というのは? 水橋 「スカーレット」は放送されなかったシーンがいっぱいあるんです。削ぎ落とされて良くなる場合もあれば、15分に収まらず仕方なくカットということもあって。最終週はそれがかなり多かったんですね。 たとえば最終週の月曜日、八郎(ヒロイン喜美子の夫、松下洸平)が作った玉子焼きを前に、武志(喜美子の息子、伊藤健太郎)が八郎に思いをぶつけますが、脚本では八郎もそれに対してきちんと言葉を返し、これまでの思いを語る長いセリフが