押尾 豊 ― 単純に描きたい事柄が湧いて来る。それだけ。 interviewer: 松江 真希子 『飛行変態するカニモドキ』 1971 (c) Yutaka Oshio 押尾豊氏は、知人を介し知り合ったアーティストである。 押尾氏の創りだす絵画、彫刻には、わたしがこれまで見たことのない世界があり、その世界には追いかけたくなる物語がぎっしりと詰まっている。 わたしにとって「ずっと気になる存在」だった押尾氏に、これまでのこと、これからのことについて、お話をうかがった。 ― ムサビ、そして彫刻学科の選択 子供の頃から単純に絵が好きで、そのことがずっと頭から消えなかった。 高校卒業後は、電機の会社に就職してサラリーマンをやったけれど、絵の勉強がしたくて、会社に勤めながら絵画研究所に通い始めた。 そのうち両立が難しくなり、半年程して会社は退職。 絵の勉強に専念し、油絵がやりたく