小学校の校内によくある像といえば「二宮金次郎像」。でも岐阜県では、「歯」の形をした塔がいくつも立っている。だれが、いったい何のために……。正体に迫った。 岐阜市北部の方県小学校(児童数95人)。校庭の隅に「歯の塔」としるされた高さ約2メートルの像が立つ。1971年の建立で、台座部分には穴がある。毎年6月になると、この1年間で抜けた児童の歯をフィルムケースに入れ、像の中に一人ひとりが「納歯」する儀式をするという。 同校6年の部田(とりた)えまさんは過去に納歯した。「目を閉じながら、小さい頃からの感謝の気持ちを込めて乳歯をいれました」と話す。 岐阜県歯科医師会が09年に刊行した記念誌「飛翔(ひしょう)」によると、こうした歯のモニュメントは県内の少なくとも26校(廃校を含む)で確認された。標準的なのは1~2メートルの大臼歯型。26校中、6割以上が昭和40~50年代に建てられていた。「乳歯に感謝し