イノベーションの重要性が叫ばれて久しいが,日本でイノベーションの成果としての新しいコンセプトの製品やビジネスモデルが生み出されているか,となるとどうも心もとない。日本社会の中に何かイノベーションを阻むものがあるのではないか,その「何か」とは日本の過去の成功体験であるキャッチアップモデルではないだろうか---といった趣旨の話を最近聞いた。 松下電器産業(現パナソニック)の副社長だった水野博之氏が,この2月19日に,都内で開かれた「大企業とベンチャーのWIN-WINフォーラム」(主催:経済産業省)というセミナーで行った基調講演の内容である。 「伝道師」の「変化」? 水野氏は,「マネシタ電器」と揶揄された松下電器にいた経験から,キャッチアップ戦略の重要性を説いてきた(例えばNEブログや仲森コラム)。松下幸之助氏から直接の薫陶を受けた最後の世代で,キャッチアップモデルの伝道師ともいうべき水野氏が今