●地域の「宝」掘り起こし、知恵を出し合い磨く ●「生産力・加工力・販売力」の三拍子で相乗効果を 地域を主役にした仕組みに日本を造りかえよう、と前回まで提言した。ではそのうえで、疲弊する地域経済を立て直すにはどうしたらいいだろうか。 各地の成功例には、そのヒントが隠されているはずだ。 日本海に面する兵庫県豊岡市で、不思議な光景に出会った。農閑期なのに、あちこちの田んぼで、田植えの前のように水が張られているのだ。こうすればイトミミズが増えて土が肥え、雑草が生えにくくなる。無農薬や減農薬の栽培がしやすくなるという。ドジョウなどの水生動物が増え、コウノトリの格好のえさ場にもなっている。 日本のコウノトリは71年、この地域で絶滅した。農薬が命を縮めた。その後、人工飼育に努め、いま野生復帰したコウノトリ19羽がこのあたりに生息する。 この方法で03年に米を作り始めた時には栽培面積が1ヘクター