本書はニューヨークで英語やジャーナリズムを教える高校教師が、成績を用いず、生徒を評価する挑戦を行った記録である。通知表を捨て、成績をつけないクラスの実験を5年ほど前にはじめた。 淡々とコンパクトに実践の記録をまとめているが、時折顔をのぞかせる著者の成績に対する意見は核心を射抜いている。 成績は、生徒を動機づけたり、罰したりするのに使われます。生徒がしたくないことをさせるために存在する極めて強力なツールなのです 成績は成長を大切にせず、生徒を互いに対抗させるという競争に基づく学習文化を生み出す 保護者はよい成績をとることが成功することであると思いこんでいる。そして、それを子どもたちにも教える 成績は生徒にとってではなく、結局のところ教師にとっての強力な武器でしかありません とはいえ、教師が成績をつけるというのは聖域であり、変更が難しいアーキテクチャーである。そして、教師だけでなく、生徒自身も