『傷物語〈Ⅰ鉄血篇〉』PV 物語のみを抽出してみると、『傷物語』はきわめて単純明快な怪異譚であることが分かる。主要な登場人物は阿良々木とキスショット、同級生の羽川翼と怪異の専門家である忍野メメの4人しか登場せず、その他のキャストはせいぜい3人のヴァンパイア・ハンターくらいである。また、原作の小説に特徴的であった一人称の語りを映画では極力排除しており、物語に関しては必要最低限でシンプルな構造を徹底的に志向していると言える。 しかしながら、『傷物語』の映像はそのミニマルな作劇とは裏腹に、ある種の過剰さに彩られている。合計で3時間半を超える長尺もさることながら、劇中で描かれるスプラッターやエロティシズムはすべて極端な仕方で演出されており、ともすれば冗長のそしりを免れないほど執拗に描写を重ね続ける。この過剰さは『化物語』の頃からすでにその傾向が認められたが、本作のそれは量的にも質的にも肥大化してい
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