後期型といわれる1969年式のトヨタ2000GT。デザイナーはこのかたちでデザインしたが,ドライビングランプが入手できず,前期型のフロントになった。 トヨタ2000GTはわが国の自動車史に残る一作品だ。一般には「ボンドカー」に使われた日本車というような取り上げ方をされたりもするが,小生は洋書に載ったひとつの小特集が忘れられない。それは「日の出る国で生まれたGTカー」としてトヨタ2000GTの誕生までのプロセスなどを記したもので,日本にもこんな意欲的なクルマづくりがあることを知らしめた。 トヨタ2000GTは,トヨタが当時の「持てる技術」を駆使して世界に比肩する高性能GTとしてつくり上げたもの,といわれた。結果として,クラウンの倍以上,238万円という価格で1967年から市販され,わずか337台だけが手づくりされて終わった貴重な「幻の名車」だ。 ちりばめられた「持てる技術」としては,直列6気