■「お金の持ちすぎ批判」は過去のものに つい最近まで株式投資家は企業に対し、「お金を事業投資に使え」「事業投資の予定がないなら株主に還元しろ」と声高に要求していたが、急激に金融不況が吹き荒れ始めた今日においては、企業は簡単には資金調達ができなくなり、手元に豊富なお金を持つ企業が相対的に強くなっている。まさにCash is Kingの世の中である。 一旦このような状況になると、保有現金の多さが批判の的とされていた先日までの状況をいったいどのように理解すればいいのだろうと困惑する企業も多いのではないかと推測する。 ■上げ潮を前提としていた企業と株式投資家の対話 考えてみると、日本市場において企業と株主の対話が頻繁に起こるようになり、M&A、コーポレートファイナンス、そしてコーポレートガバナンスが盛り上がりを見せ始めたのはこの5年ほどのことである。 この間の景気は回復基調にあったため、企