一人優雅な気分で朝食を食べていると、寝起きの妻が突然語りかけてきた。 お小遣い制のぼくには家計の内情はわからないが、そういえば今年は子供の進学だとかでお金がかかるというようなことを言っていた。 しかし、その言葉に妻が何を期待しているのか、ぼくには今ひとつ理解できなかった。 里帰り先は妻の実家で、海沿いの片田舎にある。 家が小さいために毎年近くの民宿を利用するのだが、目の前が海水浴場ということもあり昼はレジャーに夜は新鮮な魚介を堪能するという我が家にとっての一大イベントでもあった。 「そうか。そりゃお義父さんも寂しがるな。」 妻の真意もわからぬまま、当り障りのない言葉を返す。 「そうなのよ。一年に数回の、せっかくの孫に会える機会だからね。」 それに続く次の言葉を待ってみるが、妻からは一向に口を開こうとはしなかった。 妻はたまにこうして、自分自身に結論を持っていながらこちらがそこに辿り着くまで