2005年11月 小生、この春から週に三日、三重県の伊賀上野(伊賀市)で仕事をしています。伊賀は山ばかりかと思っていましたが、意外と広々とした盆地で、水と米が良く当然酒が大変おいしい。それと豆腐の田楽、伊賀牛。そんな訳で週3日の独身生活を楽しんでいます。 この地は津・藤堂藩の領地であり、立派な城郭が残っており、町も昔の佇まいを今に残した静かな小都市です。 文芸では松尾芭蕉の生誕地として大変有名ですが、漢詩のほうでも由緒がありそうです。梅の名所として知られる月ヶ瀬がすぐ傍であり、月ヶ瀬を文人墨客の訪れる名勝としたのも斉藤拙堂をはじめとする津藩の人々でした。 柏木如亭は今までにもたびたび紹介していますが、今月は彼が伊賀で詠んだ詩を紹介します。彼は1819年7月、57才で京都で没しますが、その直前の初夏、伊賀上野に滞在しています。つまり最晩年の詩です。 柏木如亭は幕府お抱え大工棟梁の職にありまし