「横浜のオカザキさんがくれたから十一月十一日はサブの記念日」これは俵万智のサラダ記念日を真似して太郎さんが口ずさんだものである。サブローとは猫のことだ。サブに申し訳ないのだが、私はこいつが我が家に来た時全く可愛いとは思わなかったのだ。私も子供の頃からたくさんの猫たちを飼ってきたが、動物と人間にも妙に相性があるということをこの時はっきり気がついた。サブは我が家に来たとたんに風呂桶のせまい床下にもぐり込んでしまい、頑なとして一日中出て来なかった。私は大量に水を流し込むという荒療法でおびき出そうと考えたのに、太郎さんは実に根気よくやさしくあたたかく声をかけ続けて、ほとんど一日余りかけて自発的にとび出して来るのに成功した。出て来た瞬間サブは太郎さんの胸にすがりつき、そのまま彼の膝にのり続けお風呂に入る時もふたの上にのり、寝る頃には足にまとわりついて太郎さんがベッドに入ると同時にふところの中へもぐり
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く