■ トルコのもう一つの顔 (中公新書 1009)(小島 剛一) artonさんがやたらとおもしろいと言うもんだから、ついつい手にとってしまった。20年も前の本であるが、本当に面白い。最高級の冒険ノンフィクション。 ヒッチハイクや長距離バス、自転車を使っての貧乏旅行でトルコ各地を巡るうちにトルコに魅せられてしまった言語学者が、東部の奥地で出会った(トルコが公式には存在すら認めていない)少数民族や彼らが使う独自の言語について調べていく……という一種の紀行文なのだが、なにしろ「非公式」な存在なものだから、そもそもよそ者には見えないはずの人々なわけだ。そこを持ち前の天才的な言語能力でもって次々と現地に友だちを作っていき、どんどん調査を進めてしまう。その踏み込みっぷりがとにかくすごくて、英語も満足に喋れないおれとしてはもう、まるでファンタジーである。 つくづく「言葉が通じる」ということは大切なのだな