「なぜ、携帯電話(移動通信)と自動車を専門にしているのですか?」 筆者は出会う人々によく問われる。答えは単純。両者の本質には似ている部分が多くて、しかも2つは太い地下茎でつながっているからだ。地続きといってもいい。 そもそも携帯電話は「自動車電話」から発祥している。旧電電公社が始めた最初の移動電話は自動車向けであるし、携帯電話黎明期には、トヨタ自動車が日本移動通信(旧IDO、現KDDI)、日産自動車がツーカーグループに出資。日産はその後手を引いたが、トヨタはIDOがDDIとKDDと合併してKDDIになる時も、出資比率を上げて影響力を強めている。 トヨタ自動車がここまで携帯電話に執着するのは、“移動する個室”であるクルマという空間に、コミュニケーション機能が欠かせないと考えているからだ。同社は携帯電話以外にも、クルマ同士が直接ワイヤレス通信でつながる「車車間通信」の研究に力を入れている。 一