今年の2月は、予想通り暇だった。俗にいう「ニッパチ(2月と8月は景気が悪い)」で、売り上げは繁忙期の12月に比べて1日当たり5000円ダウン。月給にして、5万円以上も下がってしまった。 2月は、忘年会・新年会と続く年末年始が終わり、新年度が始まる前の端境期。覚悟していたとはいえ、店のシャッターが閉まり、閑散とする駅で乗客を待つ身の寂しさは、ほかの仕事ではなかなか味わうことのできないものだ。 そんなタクシー業界は、「労働時間が長い」「ノルマが厳しい」「苦情が多い」「酔客やタチの悪い客にからまれる」「腰が痛くなる」など、つらいことだらけだ。 最近、いわゆる“ブラック企業”の過酷な労働実態が話題になることも多いが、タクシードライバーからすれば、「そんなの、どうってことない」と感じるレベルの黒さばかりである。 「タクシーができれば、なんでもできる」 これは何も言いすぎではなく、実際、タクシードライ