新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)において、長きにわたる単純な疑問がある。ウイルスの発生源は、いったいどこなのだろうか? 新型コロナウイルスの「中間宿主」はセンザンコウ? これまで人間に感染したことがないと思われるウイルスが、いかに突如として人類の細胞に侵入し始めたのか。しかも、わずか数カ月で中国から世界中へと拡散する上で必要な能力を備えてだ。 新型コロナウイルスのゲノム解析の結果は、曖昧だった。現地に生息するコウモリを発生源とする分析もあれば、野生生物の取引によってこの地域に持ち込まれた可能性があるセンザンコウとの類似性を強調するものもあった。より不確かな情報としては、研究室から流出した、あるいは生物兵器が漏れ出したという説まであった。 そしていま、米国に拠点を置く研究チームが、ウイルスのゲノムデータを大量に収集して詳細な分析を進めている。その結果、新型コロナウイルスの進化