無償で公開されているオープンソースプロジェクト「ネクストストレイン」(Nextstrain.org)は、アウトブレイク(集団感染)を起こした病原体の博物館のようなものだ。世界各地の研究機関が、患者から採取したウイルスの遺伝子配列データをここに投稿する。ネクストストレインはそのデータを使って、感染の広がり方を示した世界地図や、ウイルスの系統樹を描き出している。 イラスト:感染の広がり方を示す地図ほか ネクストストレインが取りこんだ新型コロナウイルスのゲノムは、3月末の時点で2000を超えた。データからは、感染の拡大とともにウイルスが平均15日ごとに変異していることが明らかになっている。 「変異」などと聞くと恐ろしげな想像をしてしまうかもしれないが、ウイルスの有害さが増しているという意味ではない。単に変化しているというだけで、むしろ、ウイルスがどこから来たのかを迅速に知れるうえ、起源に関する妄