猛暑が続く東京都内で巻誠一郎さんに会った。 サッカー選手や元サッカー選手の私服姿に驚くことはないが、巻さんが背負うそのリュックの大きさには目を見張った。今も暮らす熊本から上京したためかと思えば、すでに主な荷物はホテルに置いてきたという。 「結構本を持ち歩いているんですよね」 そう言って見せてくれたリュックのなかには、数冊のサッカー関連の戦術本や指導書などがあり、なかには恩師イビチャ・オシムのものもある。 「あとは、ノートですかね。3、4冊は入っています」 そう言うと、A4サイズのいわゆる「大学ノート」を取り出した。 スマホよりノートを愛用する理由。 「現役時代はノートに何かを書くことは、本当にまれでした。オシムさんの時代に練習メニューを残していたくらいで、よくある『サッカーノート』すら書いたことがなかった(苦笑)。引退してからですね。いろいろなシーンで様々な立場や職種の方とお話する機会が増