日本の賃金は、OECDの中で最下位グループにある。アメリカの約半分で、韓国より低い。同様の傾向がビッグマック指数でも見られる。 ところが、アベノミクス以前、日本の賃金は世界第5位だった。その後、日本で技術革新が進まず、実質賃金が上がらなかった。そして円安になったために、現在のような事態になったのだ。円安で賃金の購買力を低下させ、それによって株価を引き上げたことが、アベノミクスの本質だ。 昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第53回。 生涯給料「全国トップ500社」ランキング最新版 ■日本の賃金はアメリカの約半分で、韓国より低い OECDが加盟諸国の年間平均賃金額のデータを公表している。 2020年について実際のデータを見ると、つぎのとおりだ。 日本は3万8515ドルだ。他方でアメリカは6万9391ドル。したがって、日