ソ連崩壊後に訪れた、暴力とカネが支配する世界 1991年ソ連崩壊後の30年間、モスクワの雰囲気はめまぐるしく変わってきた。当初、何でも統制の社会のタガが外れて、何でもありの混沌・混乱状態となったのが、原油価格上昇のおかげで次第に落ち着き、街は西側に近いしゃれた感じになっていく。「幸せになったソ連」。僕は当時のロシアをそう形容したものだ。 なぜソ連かと言うと、消費生活は見違えるほど良くなったが、統制の方はまた見違えるほど復活してきたからだ。話は少し戻るが、その過程を述べてみたい。 1992年1月2日、ソ連崩壊で全権を掌握したエリツィンが、それまで国が全部決めていたモノの価格を一斉に自由化したからたまらない。パンの値段が1日で2倍になることも珍しくない、ハイパー・インフレとなった。たった2年間でルーブルの対ドル価値は6000分の1に落ち込んだのである。 当時は僕も、ロシアで誰かを食事に招待した