9月6 三木那由他『会話を哲学する』(光文社新書) 7点 カテゴリ:思想・心理7点 ポール・グライスについて研究している著者が、主にここ最近の日本のフィクションの中の会話を題材にして、私たちの会話の中で何が行われているかについて哲学的に分析した本。 面白く読むことはできましたが、なかなか評価の難しい本で本書です。本書は会話一般について読み解こうとしているものの、本書でとり上げられている例はかなり特殊な例だと思いますし、そもそもフィクションにおける会話というのは何らかの意図があって書かれているものであり、日常生活の会話と違うような気もします。 ただし、マイノリティの人にとっては実は会話というのはこれくらいの戦略性に満ちたものかもしれないという感想もあって(著者は性的マイノリティ)、一概に「間違っている」とも言い切れません。 また、本書は漫画作品を数多く引用しているのですが(紹介の仕方は上手い