わりと最近。とある田舎地方のお話です。 ある暖かな秋の日。 おばあさんが畑に向かって歩いていますと ーーガサガサ、ゴソゴソ。 何やらどこかで音がします。 「はて、なんじゃろう」 おばあさんは辺りをきょろきょろ見渡しました。 音はあるお宅の庭の方から聞こえてくるようです。 そっと中をうかがいますと、見事な柿の木があって、その上に一匹の猿がいました。 猿は枝を渡り歩き、 ーーひとつ、ふたつ おいしそうに熟れた柿を選んでもいでいます。 そうして、もいだ柿を抱えて木から降り、すたこらさっさと走り去ったのでした。 それを見ていたおばあさんは、 「山に持って帰って食べるのじゃな」 と思いました。 ところがぎっちょん。 おばあさんが畑に着くと、隅っこにさっきの猿がいるではありませんか。 猿は両手に柿を持ち、右の柿をむしゃむしゃ、左の柿をもりもり。 夢中で頬張っています。 おばあさんに見られていることにも
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