カーネル法によるデータ解析は今や生命情報科学やデータマイニングの分野では標準である.しかし文字列やグラフ解析など別分野に適応できるように自身で設計しようとすると容易ではない.本書は,カーネル法という多変量解析の底に流れる基本的な考え方を紹介して,読者自身が設計を行う際の道標になるような内容をめざす. ■著者からのメッセージ 本書ではカーネル法と呼ばれるデータ解析の手法を解説する.カーネル法はサポートベクトルマシンの発明によって一躍注目されるようになった.しかしながら,その本質はもともと古くからあった手法の延長線上に位置づけられるので,カーネル法を形容するのにはむしろ温故知新という言葉がぴったりとくる.すなわち,カーネル法は基本的には伝統的な線形多変量解析と同じ土俵の上にあると考えることができる一方,従来できなかったような問題にも適用できる柔軟性を持ち合わせている. 複雑な非線形データが与え