1000億円超。これは東日本大震災後、日本赤十字社が各国の赤十字社から救援金として受け取った額だ。日赤は「この規模の寄付を受け取ったのは初めてだった」という。震災から7年がたち、救援金の94%はすでに使われている。一体なにに使われたのか。ジャーナリストの伊藤詩織氏がリポートする――。 世界で初めて「原子力災害の対応ガイドライン」を策定 震災翌日の2011年3月12日、日本赤十字社(日赤)は福島県の浜通りを中心に12の救護班を送ったが、放射線の基礎知識や防護装置などを持っておらず、一時撤退せざるをえなかった。日赤の職員・藤巻三洋さんは当時を「苦い経験だった」と振り返る。 日赤にとって東日本大震災は復興支援と原子力災害対応を初めて経験した災害だった。これまでの大規模災害では医療救護活動に終始していたため、東日本大震災ではなにもかも手探りで進めた。苦い経験を克服すべく原子力災害対応の中心になった