こやまさんから思わぬリクエストをもらい、自己紹介は書いたもののさて次は何を書くべきかと思いあぐんでいたところなので、濡れ手に粟と乗らせていただきます。 さて、「数学の哲学とはいかなるものなのか」という質問ですが、こやまさんの「数学というのは問いがあってそれに一つの解がある。そこに哲学が入り込む余地はあるのか」という疑問を軸に、「数学の哲学」と呼ばれる一分野の、やや「古典的」と言える(つまり、数学の哲学についての知識をある程度持つ人からは「時代おくれ」と思われてしまうであろう)部分の、そのまた一端についてお話します。以下、数学および哲学の知識はまったく前提としませんが、それでも、それなりにややこしいお話になってしまうことと思います。そうした「ややこしさ」のすきまから、「数学の哲学」というものを垣間見ていただけたなら、さいわいです。 数学というのは問いがあってそれに一つの解がある──これは高校