フェルマー予想と ABC 予想 山崎隆雄(東北大学) 整数と多項式には多くの共通する性質がある。和・差・積が定義される(しかし商は必ずしも定 義されない)ということを出発点として、約数・倍数・素数・素因数分解などの基本概念が平行 した方法で扱えることが顕著である。そこで、整数論の有名問題、特にフェルマー予想を取り上 げて、その多項式に対する類似を考える。講義では、この問題に対して「ABC 定理」を経由し た証明を解説する。この ABC 定理は多項式に対する定理であるが、その整数における類似を考 えると、これが abc 予想という未解決問題にたどり着く。その周辺の話題を紹介する。 この原稿は、以下で行った講義が元になっている: • 現代数学講演会(2007年12月18日、於仙台第一高等学校) • JMO夏季セミナー(2008年8月26日、於山梨県清里高原「ヴィラ千ヶ滝」) • 数学概説B(